楽天は成果の出せる営業リストになるか

– 楽天市場の出店店舗数は5万店舗以上(2026年2月時点・楽天グループ発表)。国内EC流通総額は6.3兆円で、インターネット通販全体の26.7%を占めます。

– 出店店舗15店の情報ページを実際に開いたところ、会社名・住所・電話番号・FAX番号・運営責任者名は15店すべてで取得できました。メールアドレスも15店中10店。営業リストの情報源としてはかなり優秀です。

– ただし注意点があります。5つのキーワードで検索して出てきた115ショップのうち、約3割(33件)がふるさと納税の自治体ショップでした。そのまま集めると3割が営業先にならない相手になります。

楽天市場から営業リストは作れます。出店店舗の情報ページと特定商取引法に基づく表記から、会社名・郵便番号・住所・電話番号・FAX番号・運営責任者名が取得できます。メールアドレスは15店中10店で掲載されていました。他の情報源と比べて記載項目が揃っているのは、通信販売に表記義務があるためです。

この記事は、2026年8月31日に実際に楽天市場を操作して数えた結果を載せています。推測ではなく実測値です。

楽天市場の出店規模を実数で確認する

まず規模を、楽天グループ自身が出している数字で押さえます。楽天市場の出店案内ページに、次の数字が掲載されています。

項目数値
出店店舗数5万店舗以上(2026年2月時点)
年間国内EC流通総額6.3兆円(2025年)
インターネット通販全体でのシェア26.7%(2025年)
楽天ID数1億以上

出店店舗数の出典は楽天グループ「2025年度通期及び第4四半期決算説明会資料」、シェアの出典は株式会社富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2026」です。

この記事の旧版では「約5万7,079件(2023年3月末時点)」という第三者メディアの数字を使っていました。現在は楽天自身が「5万店舗以上(2026年2月時点)」と公表していますので、提案資料などで古い数字を使っている場合は差し替えてください。

なお、楽天市場への出店は有料です。月額の出店料とシステム利用料がかかる仕組みなので、掲載されている店舗は「販促に予算を使う判断をした事業者」ということになります。この点は、無料で登録できる情報源との大きな違いです。

楽天市場で実際に取得できる項目を15店舗で数えた

ここが本題です。楽天市場の検索結果から15店舗を選び、それぞれの店舗情報ページと特定商取引法に基づく表記ページを開いて、項目ごとに掲載の有無を数えました

項目掲載店舗数
会社名・屋号15 / 15
郵便番号15 / 15
住所15 / 15
電話番号15 / 15
FAX番号15 / 15
運営責任者名15 / 15
特定商取引法に基づく表記ページ15 / 15
メールアドレス10 / 15
問い合わせ導線15 / 15

(2026年8月31日、楽天市場の検索結果から抽出した15店舗)

情報が揃っているのは「制度上そうなっている」から

なぜここまで揃うのか。楽天市場が特別に親切だからではありません。通信販売には、事業者名・住所・電話番号・責任者名を表示する義務があるからです。楽天市場は出店店舗ごとに「特定商取引法に基づく表記」のページを持っており、15店舗すべてに存在しました。

これは営業リストを作る側にとって、かなり有利な条件です。実店舗系のポータルサイトでは、こうはいきません。たとえばホットペッパービューティーを同じ手順で調べた記事では、22店舗を確認してメールアドレスの掲載は0件でした。同じ「掲載件数の多いポータル」でも、取れる情報の質はまったく違います。

FAX番号が全店で取れる

15店舗すべてでFAX番号が掲載されていました。これは他の情報源ではあまり見られません。

FAXDMを使う商材であれば、宛先リストがそのまま作れることになります。反応率や送信時の注意点はFAXDMの効果と営業リストの作り方にまとめています。

運営責任者名が取れると、宛名が書ける

これも見落とされがちですが、運営責任者名が15/15で取得できます。

「ご担当者様」と「◯◯様」では、郵送DMの開封率も、電話での取次ぎのされ方も変わります。名簿を買っても代表者名までしか載っていないことが多いなかで、実際にその店舗を回している人の名前がわかるのは実務上の差になります。

ただし、運営責任者が決裁者とは限りません。店舗運営の担当者であって、システム導入や広告出稿の決裁は別の人、というケースは当然あります。名前がわかることと、その人が決めることは別です。

注意点:検索結果の約3割はふるさと納税の自治体ショップ

ここが、実際にやってみないと気づかない部分です。

楽天市場の検索結果には、ふるさと納税の返礼品を扱う自治体ショップが大量に混ざります。5つのキーワードで検索し、出てきたショップを数えました。

検索キーワードショップ数うち自治体ショップ
化粧品3014
家具285
サプリメント233
コーヒー196
工具155
合計11533(約29%)

(2026年8月31日、各キーワードの検索結果1ページ目に出店していたショップ)

化粧品にいたっては30ショップ中14、約半分が自治体でした。

自治体ショップは店舗IDが f + 数字で始まる規則性があるので、機械的に除外できます。ただし、これを知らずに収集して名寄せもせずにテレアポを始めると、3割の電話が市役所や町役場につながります。時間の無駄になるだけでなく、リストの精度そのものを疑われます。

逆に、自治体を営業先にしている場合は、この3割こそが目的のリストになります。ふるさと納税の受託事業者や返礼品の開発支援、物流サービスなどを扱っているなら、f で始まる店舗だけを抜き出せば自治体リストが作れます。同じデータでも、狙いによって捨てる側と拾う側が逆になります。

楽天市場から営業リストを作るときの弱点

情報が揃っている一方で、弱点も4つあります。

1. 店舗の所在地では絞り込めない

楽天市場の検索は「商品」を探すための機能なので、出店者の所在地で絞り込む条件がありません。「東京都内のショップだけ」を集めたい場合、いったん広く集めてから住所で仕分けることになります。

エリア営業を前提にしている場合、この後処理が必要になる点は見込んでおいてください。

2. 同じ会社が複数店舗を出している

1つの法人が、ジャンルごとに複数の店舗を出しているケースがあります。会社名で名寄せしないと、同じ会社に何度も電話をかけることになります。

会社名・電話番号・住所のいずれかで重複を除く工程を、必ず挟んでください。

3. 出店者は既に営業を受けている

これは推測ではなく構造の話です。楽天市場は出店に費用がかかるメディアなので、出店者には楽天のECコンサルタントがつきます。加えて、特定商取引法の表記で連絡先が公開されている以上、他社も同じリストを持てます。

対策は、切り口を変えることです。全ジャンルを網羅するのではなく、扱う商材と相性のいいジャンルに絞る。あるいは後述するように、楽天以外のモールや自社ECサイトの事業者と組み合わせる。

4. 情報の更新は店舗任せ

表記義務があるとはいえ、記載内容が最新である保証はありません。移転や担当者の交代が反映されていないケースはあります。取得した時点のスナップショットとして扱い、定期的に取り直すのが前提になります。

楽天市場以外のECモールも合わせて集める

楽天市場だけで完結させる必要はありません。Yahoo!ショッピングは出店の初期費用と月額が無料なので、楽天とは出店者の層が違います。Amazonやau PAY マーケットも同様です。

4つのモールの出店者の違いと、どのモールを狙うべきかはECモール出店者に営業する完全ガイドにまとめています。

手作業とツール、どちらで集めるか

1店舗あたり、情報ページと特商法ページの2ページを開いて転記すると3〜4分かかります。100店舗で5〜7時間、500店舗なら3〜4日です。

まずジャンルとキーワードを絞り、自治体ショップを除いて、それでも数百件を超えるならツールを検討する、という順番が無駄がありません。手作業の具体的な進め方は手作業で営業リストを作る方法にまとめています。

収集ツールの使い分け

ECモールからの収集に対応したツールは複数あります。料金は改定が入るため、各社の公式ページでご確認ください。ここでは用途の軸だけ整理します。

タイプ向いている使い方注意点
U社(モール特化型)対応モールが決まっており、そこから素早く大量に集めたい月間の収集件数に上限がある。対応外のサイトは集められない
K社(多サイト対応型)複数のモールを横断して集めたい設定項目が多く、初期の習熟に時間がかかる
IZANAMI(Web横断型)モールに出店していない自社ECサイトの事業者まで含めて集めたいWindowsアプリのためパソコンの起動が必要。収集に時間がかかる

IZANAMIは、集めた事業者名と住所をもとにインターネット上を横断して検索し、電話番号・メールアドレス・問い合わせフォームのURLなど、掲載元にない項目を探して補完します。収集件数に上限はありません。

弱点もはっきりしています。Windowsアプリなのでパソコンを起動しておく必要があり、Web横断で探しにいく分、収集には時間がかかります。今日中に数千件が必要という使い方には向きません。

そして正直に書くと、集める対象が楽天市場だけと決まっているなら、モール特化型のツールのほうが速いです。IZANAMIが有利になるのは、モールに出店していない自社ECサイトの事業者や、複数モールにまたがる事業者を含めて広く集めたい場合です。

料金と収集の仕様は料金プランのページに掲載しています。他のツールとの比較は営業リストを無料で収集できるツール7選もあわせてご覧ください。

楽天市場の営業リストに関するよくある質問

楽天市場からメールアドレスは取得できますか?

15店舗中10店舗で掲載されていました。掲載率は約67%です。掲載がない店舗も、問い合わせ導線は15/15で存在するため、そちらからの接触は可能です。実店舗系のポータルサイトと比べると、メールアドレスの取得しやすさは大きな利点です。

楽天市場の出店店舗数は何店舗ですか?

5万店舗以上です(2026年2月時点、楽天グループ「2025年度通期及び第4四半期決算説明会資料」)。年間の国内EC流通総額は6.3兆円で、インターネット通販全体の26.7%を占めています。

出店者の所在地で絞り込めますか?

できません。楽天市場の検索は商品を探すための機能なので、出店者の所在地を条件にする絞り込みがありません。エリアで分けたい場合は、収集後に住所で仕分ける工程が必要です。

ふるさと納税の自治体ショップを除くにはどうすればいいですか?

店舗IDが f と数字で始まるものが自治体ショップです。5キーワード115ショップを調べたところ約29%を占めていたため、除外の工程を入れないとリストの精度が落ちます。逆に自治体が営業先の場合は、この条件で抽出できます。

収集ツールを使って自動で取得しても問題ありませんか?

各サイトの利用規約を確認したうえで、サーバーに過度な負荷をかけない範囲で利用してください。公開されている情報であっても、取得方法や利用目的によっては制限がかかる場合があります。判断に迷う場合は、掲載元に確認するのが確実です。

まとめ

  • 楽天市場の出店店舗数は5万店舗以上(2026年2月時点)。国内EC流通総額6.3兆円、通販シェア26.7%
  • 15店舗を実測したところ、会社名・郵便番号・住所・電話番号・FAX番号・運営責任者名は15/15で取得できた。メールアドレスは10/15
  • 情報が揃っているのは通信販売の表記義務があるため。実店舗系のポータルとは取れる情報の質が違う
  • 検索結果の約29%はふるさと納税の自治体ショップ。除外しないとリストの精度が落ちる(店舗IDが f で始まる)
  • 出店者の所在地では絞り込めないため、エリア営業には収集後の仕分けが必要
  • 同一法人の複数出店があるため、会社名や電話番号での名寄せは必須

参考・出典

調査条件

  • 調査日:2026年8月31日
  • 掲載項目:楽天市場の検索結果から抽出した15店舗について、店舗情報ページと特定商取引法に基づく表記ページの両方を確認
  • 自治体ショップの比率:「化粧品」「家具」「サプリメント」「コーヒー」「工具」の5キーワードで検索し、検索結果1ページ目に出店していたショップ115件を対象に集計
  • 出店店舗数・流通総額:楽天市場の出店案内ページに掲載された公表値を引用

掲載内容は変動します。数字は調査時点のものとしてご参照ください。